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BLACK WOLF~crime~
第9章 君ノ笑顔


でも、今は…。


私は、何があっても黒埼さんを選んでしまう。

どんなに喧嘩をしても黒埼さんの胸へ帰ってしまう。

何度でも、奪い返されてしまう。


「こ、の野郎…っ!」

ギリッと拳を握り締める桜木さん。

黒埼さんから何の反応も得られなかった悔しさからか歯を食い縛りながら黒埼さんを睨み付けてる。


「悪いが、こちらは拳銃を所持してる。その気になればお前を撃ち殺せる。直にここにも警察が来る。━━観念するんだな」



そう言い残すと黒埼さんは再び私の元へ歩み寄って来た。

怒りに震える桜木さんを無視して。



「待たせたな。帰るぞ」

「あ、でも…」

「心配するな。警察と一緒に救急車も来る。そのガキも連れて帰ってやる」

…ハルちゃんの事じゃない。

桜木さんの事だ。



確かに桜木さんのした事は許せないことだが、桜木さんは黒埼さんを恨んでる。

黒埼さんがお父さんを自殺に追い込んだ、と。

黒埼さんがそんな酷いことをするとは思ってないけど、桜木さんの気持ちを考えると居たたまれない。


チラリと桜木さんを見ると、肩を震わせながらその場に立ち竦んでいるだけだった。


「ふざけんな…っ、てめぇは…、俺の親父を…っ!」


桜木さんの絞り出すような声が聞こえた。

黒埼さんが詐欺紛いの事をするとは思えない。

何か他に事情があったのか、桜木さんの誤解なのか…。


「言っただろ?お前の親父の死は事故だと━━━━━」

「何が事故だっ!莫大な借金を抱え途方にくれて、1人で首をくくった親父の悔しさがお前にわかるかっ!?」



…事故?

桜木さんのお父さんは自殺したんじゃないの?

黒埼さんに追い詰められたんじゃないの?


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