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BLACK WOLF~crime~
第10章 最後ノ恋
黒埼さんを失いたくない。
私の願いはそれだけだった。
「黒埼さんっ!!」
真っ赤な血で染まった床に倒れる黒埼さん。
その体にしがみつき大声で黒埼さんの名前を叫んでると、ドヤドヤと騒がしく大勢の男が突入して来た。
警官と、特殊部隊のような人達。
「騒ぐなっ!大人しくしろっ!」
「犯人確保!負傷者2名!ただちに救急隊を━━━━」
無線で呼び出された救急隊によって倒れているハルちゃんは担架で運び出され
力なく座り込む桜木さんは警官隊の手に寄り連行されて行った。
私はその間、そんな騒ぎなど全く聞こえず見えず、ただ黒埼さんの体にしがみついていた。
ハルちゃんが運び出され黒埼さんも担架に乗せられ救急車に運ばれて行った。
まるで地獄絵図のようなこの空間から私達は運び出されていく。
久しぶりに地上の空気を吸って日の光を浴びたと言うのに、私の心は晴れなかった。
それどころか、怖くて怖くて仕方なかった。
私の足元に大きな暗い穴が空いてて、その穴へ真っ逆さまに落ちていく、そんな気がした。
私にとって、黒埼さんがいなくなるということはこういうことだ。
絶望的な、光なんて全くない暗闇に閉じ込められる、そんな気分だ。
黒埼さんとハルちゃんに付き添い、念のためということで私も救急車に乗せられて、そのまま病院へ向かうことになった。
私はどこも怪我なんてしてない。
それより、早く黒埼さんとハルちゃんを助けて…。
「○○病院、負傷者2名の受け入れを━━━━━」
車内の中で救急隊が受け入れ先の病院を必死になって探してくれている。