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BLACK WOLF~crime~
第4章 海ノ魚
そうだ…。
起きたらハルちゃんに電話しなくちゃ。
許してもらえないかも知れないし、私の声すら嫌がられてしまうかも知れない。
謝りたいなんて私の勝手な自己満足に過ぎない。
だけど、頭を下げてでもハルちゃんには謝りたい。
それから、黒埼さん。
勝手にさよならを告げて部屋を飛び出しちゃったけど、もっときちんと話さなきゃ。
でも、今更何を?
あの人が私の話をまともに聞いてくれるとは思えない。
ハルちゃんを傷つけて、痛め付けて、それを楽しげに笑いながら見てる。
そんな悪魔みたいな人と何を話せと言うの?
それと、桜木さんにお礼を言わなくちゃ。
行くあてのない私を匿ってくれたんだ。
いくら独り身とは言え黒埼さんにバレたら何をされるかわかったものじゃないのに。
それでも、私を匿ってくれた人。
それから、早く職も見つけなきゃ。
イタズラ電話に悩まされないように携帯番号も変えた方がいいかも。
あのアパートは…、黒埼さんが勝手に解約したり大家さんに強兵退去を命じられない限りは住み続けられそうだ。
やらなきゃならないことは沢山ある。
人様の部屋で眠ってる場合じゃないのに。
「━━━さん?…相沢…さん…っ」
遠くから私を呼ぶ声が聞こえる。
誰…?
黒埼さん?ハルちゃん?
違う、あの2人は私の事を苗字で呼んだりしない。
「相沢さん…、相沢さんっ!」
━━━━━ハッ
「よかった。やっと起きた…」
名前を呼ばれてハッと目を覚ますと、そこは…
見慣れない天井と見慣れないソファ。
ここは…?