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BLACK WOLF~crime~
第4章 海ノ魚
「相沢さんのアパート…の、近くでいいの?」
「はい。出来たら今朝の公園の近くで」
家の前はさすがに危ない。
もしアパートに黒埼さんがいて、桜木さんの姿を見られでもしたらまた有らぬ誤解をされて今度は桜木さんにまで危ない目に合わせちゃうかも知れない。
桜木さんの助手席に乗り込むと、そこでもジャスミンの香りが感じれた。
バタンッとドアを閉めると車は走り出した。
「このマンション、駐車場がちょっと遠いのが難点なんだけどね」
そう言えば…。
私は先に下に降りて来たからわからなかったけど、桜木さんはマンションの裏手に回って車を取って来たみたいだ。
広い車内に流れるのは、最近流行りの洋楽のBGM。
車の窓、流れる景色を見ながら思うのは…、黒埼さんの事。
黒埼さんの車と違って桜木さんの車は右バンドル。
普通の国産車。
いつもは自分の左に黒埼さんの気配を感じてたけど、今は全てが違う。
私の右にいるのはハルちゃんによく似た暖かな男性。
右に見える横顔も、雰囲気も全部違う…。
そして、私はもう2度と黒埼さんの隣に座ることはないのかも知れない。
2度と、あの横顔は…。
「あのさ、相沢さん」
「は、はいっ!」
黒埼さんの影を重ねようとしていた私に急に話しかけてきた桜木さん。
その声と横顔は黒埼さんとは似ても似つかなくて、黒埼さんの影は一瞬にして消え失せた。
「相沢さんって兄弟や姉妹はいるの?俺は独りっ子だけど」
「私も独りっ子です」
「そっか。俺は妹か弟が欲しかったなぁ。相沢さんは思ったことなかった?」
…兄弟か姉妹か。
考えたこともなかったなぁ。
そんな事を考えるような余裕なんて今までなかったから。
でも、強いて言うなら…、そうだなぁ…
「お兄ちゃんが欲しかったかな…」
「はい。出来たら今朝の公園の近くで」
家の前はさすがに危ない。
もしアパートに黒埼さんがいて、桜木さんの姿を見られでもしたらまた有らぬ誤解をされて今度は桜木さんにまで危ない目に合わせちゃうかも知れない。
桜木さんの助手席に乗り込むと、そこでもジャスミンの香りが感じれた。
バタンッとドアを閉めると車は走り出した。
「このマンション、駐車場がちょっと遠いのが難点なんだけどね」
そう言えば…。
私は先に下に降りて来たからわからなかったけど、桜木さんはマンションの裏手に回って車を取って来たみたいだ。
広い車内に流れるのは、最近流行りの洋楽のBGM。
車の窓、流れる景色を見ながら思うのは…、黒埼さんの事。
黒埼さんの車と違って桜木さんの車は右バンドル。
普通の国産車。
いつもは自分の左に黒埼さんの気配を感じてたけど、今は全てが違う。
私の右にいるのはハルちゃんによく似た暖かな男性。
右に見える横顔も、雰囲気も全部違う…。
そして、私はもう2度と黒埼さんの隣に座ることはないのかも知れない。
2度と、あの横顔は…。
「あのさ、相沢さん」
「は、はいっ!」
黒埼さんの影を重ねようとしていた私に急に話しかけてきた桜木さん。
その声と横顔は黒埼さんとは似ても似つかなくて、黒埼さんの影は一瞬にして消え失せた。
「相沢さんって兄弟や姉妹はいるの?俺は独りっ子だけど」
「私も独りっ子です」
「そっか。俺は妹か弟が欲しかったなぁ。相沢さんは思ったことなかった?」
…兄弟か姉妹か。
考えたこともなかったなぁ。
そんな事を考えるような余裕なんて今までなかったから。
でも、強いて言うなら…、そうだなぁ…
「お兄ちゃんが欲しかったかな…」