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煌めきの粒子【超短編集】
第8章  関係の変化
来た…


7時10分発地下鉄東山線藤ヶ丘行き


前から三両目


アナウンスと共に扉が開く


進行方向向かって右の一番前の座席


いた……






検定試験に向けて


一週間、朝の特別講習のため


たまたま乗った電車で


彼を見かけた





短髪に


精悍な顔立ち


大きなスポーツバッグを下に置いて


少し眠そうな眼差しで座席に座る





なぜか


彼から目を離せなくて






それから一週間


同じ電車に乗って


一週間が過ぎても


同じ電車に乗り続けた





彼の短髪がだんだん伸びてきて


大きなスポーツバッグを見かけなくなり


参考書を読むようになった





けれど


私達の関係は


何も変わらない


ただ


同じ時刻に


同じ電車に乗る


乗車客というだけ……





翌朝


あれっ、いない……


いつもの電車に彼がいない





今日は、もう会えないのかな……


落胆しつつも


僅かな希望をもって


次の電車を待つ





あ、いた……!!!


見覚えのある制服


いつもの参考書


会えた……


嬉しい……!!!





夕方


学校からの帰り道


初めて


いつもと違う時間帯に


彼と


同じ電車に乗った


吊り革に手を掛けてる姿が


新鮮で


背が高いんだって


初めて気付いた





嬉しい……


今日は、なんて


ツイてるんだろう……





幸せに浸りながら


電車から降りた途端





『待って…』


背中にかけられる声





驚いて振り向くと


彼が


私の駅に立ってる





『今朝……


同じ電車だったの、あれ偶然?』





唐突な彼の質問に


言葉が繋げない私


気持ち悪いって思われてたら


どうしよう……


もう見ることさえも叶わなくなるかも……





『俺、部活引退して


朝練なくなってからも


君に会いたくて……


同じ電車に乗ってたんだ……』





え……


俯いていた顔を上げると


少し頬を赤くして


鼻の下をこすった彼が見えた





『よかったら……


君の名前


教えてくれる?』






この日


私達の関係が


変化した





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