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煌めきの粒子【超短編集】
第4章 初恋
幼さの残る顔立ちと
それとは対照的な大人びた、寂しげな表情
薄桃色の寒桜と相まって
まるで一枚の絵画のようで
思わず魅入られた
突然
彼が窓を開けた
ザァーーーーーッ!!!
強い風が桜の花びらと一緒に吹き付ける
顔周りの髪が後ろへと引っ張られ
毛先が風に悪戯されているように
くるくると顔の周りにまとわりつき
スカートがふわっと舞い上がる
思わず小さく声を洩らし
スカートに手を置いた途端
胸に抱いていた本を落とした
(気付かれた……)
恥ずかしくなって俯く私……
彼が振り返り
窓が閉められ
こちらへ向かって来る気配がする
名前の書かれた上履きのゴム部分をじっと見つめる
彼の指が、落ちていた本に触れた……
(なんて、綺麗な指をしているんだろう……)
本を指先で掬い上げる仕草が
まるでスローモーションのように感じる
ドキドキが耳の奥まで聞こえてきて
心臓が爆発してしまうんじゃないかと心配になる
「初恋……」
思い描いていたよりも低い声に
驚いて顔を上げる
私より頭一個分、背の高い彼が
目の前に立っている
風に煽られて乱れてしまった
彼の髪を見ていると
なぜか恥ずかしい気持ちになった
何も映さないように見える程真っ黒な瞳に
私の顔が映っているのが見えて
不思議な気分になり
吸い寄せられるようにじっと彼を見つめた
「僕も、好きなんだ……」
「え……」
それは、
初恋の始まり……
それとは対照的な大人びた、寂しげな表情
薄桃色の寒桜と相まって
まるで一枚の絵画のようで
思わず魅入られた
突然
彼が窓を開けた
ザァーーーーーッ!!!
強い風が桜の花びらと一緒に吹き付ける
顔周りの髪が後ろへと引っ張られ
毛先が風に悪戯されているように
くるくると顔の周りにまとわりつき
スカートがふわっと舞い上がる
思わず小さく声を洩らし
スカートに手を置いた途端
胸に抱いていた本を落とした
(気付かれた……)
恥ずかしくなって俯く私……
彼が振り返り
窓が閉められ
こちらへ向かって来る気配がする
名前の書かれた上履きのゴム部分をじっと見つめる
彼の指が、落ちていた本に触れた……
(なんて、綺麗な指をしているんだろう……)
本を指先で掬い上げる仕草が
まるでスローモーションのように感じる
ドキドキが耳の奥まで聞こえてきて
心臓が爆発してしまうんじゃないかと心配になる
「初恋……」
思い描いていたよりも低い声に
驚いて顔を上げる
私より頭一個分、背の高い彼が
目の前に立っている
風に煽られて乱れてしまった
彼の髪を見ていると
なぜか恥ずかしい気持ちになった
何も映さないように見える程真っ黒な瞳に
私の顔が映っているのが見えて
不思議な気分になり
吸い寄せられるようにじっと彼を見つめた
「僕も、好きなんだ……」
「え……」
それは、
初恋の始まり……