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if‥‥
第1章 if
情事が終わった後、
貴方はシャワーを浴びる。
石鹸は使わない。


時計を気にする貴方。

ソファに座り、
煙草を吸いながら、
私を待つ。

帰り支度をする時は、
いつも虚しい‥‥


「ねぇ、
おそらく、
ここ数年のうちに東京に大地震が起こるって、
科学者達は予想をしてるわ。
大惨事になるだろうって。
そんな時、
もし、
私と貴方が今日みたいに会っていたら、
どうなるかしらね?
世間の不倫カップルで、
あの3.11の時に会っていて、
帰れなくなった人って居たのかな?」


私は笑いながら、
冗談を言うように誤魔化しながら、
もし?
を聞いてみた。

貴方は笑いながら言うの。

「そしたら、
真実と朝まで一緒だね。
ずっと抱きあっていられる。
朝帰りの言い訳も出来るね。
きっとこれからの事を考えて、
不安になる前に、
幸せで楽しい時間を過ごして、
現実に帰れるよ」


「そうね」
私は笑った。

パキンと心の鏡にヒビが入る。
聞かなかった事に出来ないif‥‥‥


弱い自分を隠すように、
少し強めの赤いルージュを引く。
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