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喪われた記憶
第11章 清白家
暫くして…第二ラウンドが始まった。
俺は月琴の叔父さん達と3人で話をすることになった。
『…青瀬君と言ったかな。
君に聞きたいことがある。
いいかな。』
「…はい。」
『君たちが出会った時が6年前…。
この6年間、ずっと月琴と付き合っていたのかな?』
「…いえ。」
『……では、なぜ今一緒に?』
「僕が…先日たまたまこの周辺に仕事で来ていて、
その時…彼女を見かけて声を掛けたんですが。」
そのまま黙りこくってしまった俺に叔母さんが、
『月琴…覚えていなかったんじゃない?』
「…どうしてわかったんですか?」
一息ついて、彼女は答えた。
『…月琴は、家の二階の窓から飛び降りたらしいの。』
「………。」
『幸い命に別状はなかったけれど、
それと引き換えに、それまでの記憶を無したわ。』
「………。」
『…だから私達は何があったのかを知らないのよ。
あなたは…何も知らない?』