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喪われた記憶
第13章 新しい生活
「……それじゃ、行ってきます。」
『いってらっしゃ~い!』
『何かあったらすぐ連絡するんだよ。』
『いつでも帰ってきてね。』
家族に見送られて、紫苑の車に乗る。
紫苑も車から叔母さんたちに会釈する。
窓から覗いて見えなくなるまで手を振り続けた。
やがて窓を閉め、座席にもたれ掛かる。
ふぅ…と息をついて話しかける。
「……認めてもらえてよかったね」
『ほんとにな。
…というか、あの言葉は同棲じゃなくて
結婚の許可をくれるような勢いだったな。』
「……はっ!?」
びっくりして紫苑を見る。
「おばさんたちと何話してたの?」
彼はチラリとこちらを見て、
『……内緒…。』
と言って笑った。