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喪われた記憶
第14章 恋敵?



嫌だ…


そんなの嫌だ!



今紫苑に私以外そういう人がいないのは分かってる。


いないけど……


いるんだ。





だって、私は月琴。


紫苑が求めているのは<月琴>だから。


私のなくした記憶の中の月琴だから。





前の月琴であって、

今の私のことじゃない。





やっぱり時々感じる。


彼が私ではない誰かを見て


その人に向けて言葉を発しているって……




その時はどんなに彼が『好きだ』と言っても


心に穴が開いたままになる。




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