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喪われた記憶
第15章 過去を辿って
『痛っ…………』
見上げると、苦痛に顔を歪めた紫苑の姿。
私達は階段の踊り場に転んでいた。
『お前はっ…!
だから走るなって言ったんだよ!!』
「…ごっ、ごめ……」
『死んじまったら…死んだらどーすんだよっ!』
「………!」
『せっかくまた会えたのに……
今度こそずっと一緒にいられるかもしんねーのに!』
『もう…俺の前から突然いなくならないでくれよ』
「……………っ」
私は紫苑を抱き寄せた。
言葉を発せない代わりに。
―――――ごめんね
そう伝えるために。