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喪われた記憶
第16章 忍び寄る影



『いいか?
 終わったら絶対電話しろよ。
 一人で帰ろうとか死んでも考えるなよ?』



「はいはい、了解です。」





このやりとりも最早日課。



あの日初めて迎えに来てくれた日から、



ずっと送り迎えをしてくれている。



なんかお返ししてあげないとな……




「…じゃ、行ってきます。
 紫苑も気をつけてね。」


『ああ。頑張れよ。』




そしてドアを閉めて紫苑の車を見送る。




その時だった。






―――ゾクッ………







「………………っ!?」





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