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喪われた記憶
第19章 刻み始めた時
『…いい顔だ』
「……っ」
顎を掴まれ、強引に口づけされる。
私は首を振って抵抗する。
『抵抗したらどうなるか…忘れたようだな』
「いやっ…やめて………っ」
首に大きな手が添えられる。
その瞬間、思い切り力が加えられた。
「――――――――!」
―――息ができない……っ
―――苦しい……
―――助けて……誰か……
「…し………お…ん」
声を絞りだすと手が離された。
『…紫苑…!…………あいつかっ!!』
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