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喪われた記憶
第26章 彼の温もり





綺麗な顔も

髪も



何一つ欠けちゃいない。



香りもパーカーと同じ…



逞しい胸も



私を抱きしめてくれている腕も



全てが



『この人は紫苑だよ』と教えてくれていた。



泣きそうだった。



奇跡だと思った。



蜃気楼だと思った。



でも触れてみると温もりが感じられ



そこに彼がいると分かって……



もう止められなかった。












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