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莉愛菜と彼の主従関係~あなたのために~
第3章 夏の夜



土手から下り、人の波に沿って歩くあたしと海斗の周りはやっぱり少し空いていて、みんな遠巻きに見てくるけれど、そんな視線も気にならない程にあたしは嬉しさでいっぱいだった。

海斗との夏の思い出が一つ増えた。

去年はいろいろなことがありすぎて、夏を楽しむ余裕が無かったから念願だったんだ。

絡まる指先に力を入れると握り返してくる温もりに顔が綻ぶ。

「来年も、見に来れるといいな。」

「来年は、紺色の浴衣ってのも捨てがたいな。」

あたしを見ながらもう来年の浴衣の色を悩んでる海斗。

てか、浴衣なんて毎年買い替えるようなものじゃないのに。

「あたしはこの浴衣がいいな。」

「いや、これ以外にも似合う物を買ってやる。」

「これだけで充分だよ。」

「二つくらいあってもいいだろ?」

海斗はあたしの浴衣をもう一つ買いたいらしい。

海斗が選んでくれたこの桜色の浴衣、とっても気に入ってるんだけどな。


それでも、当たり前のように来年の話を返してくれる事がとても嬉しくて幸せだと思った。


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