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溺れる恋は藁をも掴む
第9章 求め合う肌
どんなにいい男でも、
イッタ後は、欲望の白濁液を放出し、
魂が抜けたように、
さっきまでの勢いは消え、
動きが止まり、
軽い放心状態のような表情になる。

アキは恍惚とした顔で、
「気持ち‥‥‥良かった‥‥」
と呟き、私を抱きしめた。

暫く、そのままの時間が流れる。

私はアキの身体の重みを感じながら、
アキの背中に手を回した。


「アキの逞しい腕好きよ」

「えっ?」

「安心するの」

「ああ‥‥‥‥」

「俺は華の匂いが好き」

「え!」

「安心するんだ。
一見、見違えるほど変わったと思っても、
華が作り出す、
雰囲気や匂いは、
俺が知ってる三浦華だから」


「どんな匂いなの?」
臭いとか?
あぁ‥‥‥やっぱシャワー浴びとくんだった。



「あの頃と変わんねー
三浦華、そのものの匂いに安心すんだ。
俺を安心させて心地よくさせる女の匂い」


アキはそっと私の頭を撫でた。


私そのものの匂いって‥‥‥?
自分では分からない。

それでも‥‥‥


あなたの腕の中、
肌と肌が触れ合い、
求め合う事実。

そこは、あの頃と大きく変わったじゃない。
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