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溺れる恋は藁をも掴む
第16章 陽だまり
今日の莉緒はよく喋った。
ありのままのストライクを投げつけ、
それを一つ一つ受け入れるのは、
俺のケジメなんだよな‥‥


「晶さ、
穏やかな顔になった。
影があって、何考えてるか分からない晶も魅力的だったけど、
今の晶の方が生き生きしてる。
店に入ってきた時から気づいたよ。
晶の心に浸透しちゃう、
女アリって。
ちょっと悔しいけど、
これはいいタイミングなんだって、
妙に納得したりね」


「え?そんなに変わったか?」


「変わったよ。
晶が気づかないうちに、
心の隙間に入りこむ女が、
百合さん以外に出来たんだって」


「俺自身が、莉緒にそんな風に言われるまで気づけてないんですけど…」


「本当、バカね。
晶って。
鈍感で女心に疎くて、
いや、疎いふりをしてさ、
本当は誰よりも弱い心を曝け出して甘えたいのに、
強がって、自分自身を閉じ込めてんだよ。
もう、いい加減気づけ!
素直になれ!
私と晶はさ、
そういうところが欠けてんの。
本当は誰よりも陽だまり求めて、
冷えた心を温めて甘えたいのにさ、
邪魔すんだよね‥‥
針穴くらいの小さなプライドが。
優しさの糸で、綻んだ心を結んで欲しいのに、とんがって格好つけんの」
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