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溺れる恋は藁をも掴む
第4章 心の景色

俺の親父は、高校を卒業後に印刷会社就職し、
元々は製本などの技術を担当していた。

母さんは、親父より三つ年下。
母さんもその会社で事務員をしていた。
新入社員だった母さんに熱烈にアプローチをし、
二人は付き合うようになり、
結婚した。

いわゆる職場結婚。

親父は母さんに一目惚れをしたらしい。

母さんは小さな俺に言うんだ。

「お父さんね、
甘いものはそんなに好きじゃないのに、
三時の休憩になると、
近所のたい焼き屋さんから、
みんなの分のたい焼きを買ってきて、
配るのよ。

どうしてだと思う?

小さな俺に母は嬉しそうに話す。

ママが好きだったから。
たい焼きね」

「へぇー」
小さな俺はそんな話をする母さんに耳を向けた。

「社内報でね、
あっ‼︎ 会社の新聞の事ね。
新入社員の自己紹介っていうのがあったの。
あっくんに分かるかな?

会社に新しく入りました。
よろしくお願いします。
っていう紹介でね。
ママが載ったの。

好きな食べ物は?
って聞かれてね、
たい焼きって答えたの。
それを見たパパが、
休憩になると買って来てくれて、
事務所に寄って、
みんなに配ってくれたのよ。

『疲れたら、甘いもん食べたくなるでしょ?
食べて!』
って言いながらね。

毎日、毎日よ。
さすがに飽きるでしょ?

パパにね、毎日悪いですって言ったらね

『好きなんだよね?』

って不思議そうな顔をするの。

パパは、たい焼きをママに渡す事で、
一言でも話せるのが嬉しかったって、
言うのよ。


もうね、ママ可笑しくて。
でも、そんなパパを好きになったの。


だから、
今、あっくんが時折見る、
怖いパパは違うパパ。
パパも苦しいんだよ。
心が弱って、
ぶつける相手がママしか居ないの。

元々のパパは優しくて、
気遣いが出来る人。

今のパパは、
そんな辛い事を隠したくて、
隠しきれなくて、
鬼のお面を被るしかないのよ。

大人ってね、
大変なんだよ。

大変って漢字知ってる?
大きく変わるって書くの。

大きく変わらなきゃ、
自分が自分でなくなってしまうんだよ。

ずっとこのままじゃないから。

辛抱ね。

あっくんとしゅうちゃんは、
ママが守るから。


あっくんはいいお兄ちゃんになったね。
ママはそんな優しいあっくんが大好き」


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