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大きな瞳に映るのは
第3章 大きな瞳
― 音夢 side ―
音楽室から優美なピアノの音色がする。
吸い込まれるように音楽室に入った。
バタンッ
木製の扉を閉める。
音楽専攻の学科があるにも関わらず
スタジオみたいな防音室じゃないのか…
なんて思う。
入学式当日のせいか、生徒はいない。
中央にグランドピアノが二台
しかし
先ほどから聞こえる音はさらに奥だった。
私は足を進めた。
キィー
教務室 と書かれた部屋の扉を開ける。
やはり音色はここからだった。
「 あのー… 」
ピアノの音色が止むと同時に
ゆっくりと扉から顔をのぞかせた。
狭い部屋に大きなグランドピアノが一台と
壁際にはぎっしりと詰まった譜面たち。
そして
ピアノの前に座っていたのは
先ほどの音色を奏でていたとは
思えないような男子生徒だった。
なんというか
ロックバンドでも組んでいそうな男子生徒。
髪色は金髪、長くも短くもない。
前髪が右目のほうへとながれている。
毛先はぴょんと跳ね
遊ばせているようにも見える。
片耳に光るふたつの黒色のピアス
それよりなにより
二重の大きな瞳
世間に言わせてみればきっと
かっこいい系 より 可愛い系 だろう。