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大きな瞳に映るのは
第9章 自由奔放
トントンッ …
『 ハルゥー?帰ろー? 』
『 げ。』
遙がばつの悪そうな顔をした。
私も心の中で やばい と思ってしまった。
自分の彼氏がこんな部屋の中に女子と二人っきりだなんて、頭に血が上るに違いない。
『 誰?その子 』
入ってくると同時に私を見て睨んでくる。
『 木下音夢 』
「 … です。」
( 何で遙が私の名前を名乗るんだよ )
『 なーんか見たことあるかも。』
『 生徒会 』
『 それだーっ! 』
「 ど… どうも… 」
ぺこりと頭を下げてから彼女を見上げる
( 名前… なんだっけ。忘れちゃった。)
『 麗、わざわざここまで迎えに来なくても… 』
( あ、そうだ麗先輩だ… )
『 だって今日は吹部じゃないんでしょ?
一緒に帰れるなぁーって♪ 』
ものすごく楽しそうに麗先輩は笑う。
( ん…? 吹部じゃない…? )
『 まぁ、今日は違うけど…
木下音夢と帰ろうと思ってた。 』
「 … は? 」
いろいろ頭の中で整理が付かず思わずいつもの癖で心の声が出てしまった。
『 えっ… そうなんだ… じゃあお邪魔だったかな… 』
シュンとしながら麗先輩が言う。
彼女の立場でお邪魔ってなんだ。
そんでもって意外といい人そうだ。
『 木下音夢は、この後どうすんの? 』
いきなり私に振られた。
どうするってなにも考えてなかったしいつも通り一人で帰る予定でいた。
「 えっ… 私は… 」
『 あっ、そういえばさっき奏君が探してたよ~? 』
『 奏が? 』
『 たぶんこの子のことだと思うんだけどぉ… 』
奏先輩が?と思いスマホの画面を見る。
奏先輩からの連絡はない。
「 あ、じゃあ一応私生徒会室行ってみますね…! 」
ガタッ
「 しっ、失礼しますっ 」
この空気に耐えるのもそろそろ嫌気がさしたので私は慌てて教務室を飛び出した。
一礼して教務室を出る直前
満面の笑みで右手を軽く振る麗先輩が視界の隅に映った気がした。