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大きな瞳に映るのは
第10章 スポーツ科
「 …? 」
上目遣いで首をかしげながら俺の方を見る。
木下にそんな気はなくても、こんな態度を見たら襲いたくなる男の一人や二人は確実にいるだろう。
『 はー…。とりあえずなんかあったら言えよ? 』
面倒事は好きじゃない。
けれど木下は一応特別な存在だ。
俺は右のポケットに入っていた棒付の飴を木下に差し出した。
それを見た木下の瞳は一気に輝いた。
「 …これっ、… いいの?! 」
嬉しそうに俺を見る。
もちろん俺は木下の好物だと知ったうえで差し出した。
中学の時と同じ反応を見せる。
相変わらず可愛い。
コクリと頷くと、木下は ありがとう と言ってそれを受け取った。
「 頼れるお兄さんですな~♪ 」
お兄さんか。
まあ、別に構わないけど。
『 面倒事はいやだからね 』
再び忠告だけして、また歩き出す。
木下はるんるん気分のようだ。
( こんなところ奏先輩に見られたらぶっ殺されそうだな… )
ふと思ったが、まあいい。
『 じゃ、俺バイトあるから。 』
右手を軽く上げ木下と別れる。
中学のころに戻った気分だった。