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大きな瞳に映るのは
第11章 匂い
「 だから少しは気になるって …! 」
つい声を張ってしまった。
ハッとして遙の方を見ると
少し驚きながらもニコニコしていた。
『 そっかー。そうなのねー。』
カラカラと規則正しく車輪の音が流れる。
遙が落ち着いたトーンで口を開く。
『 そっかー。少しだけかー。』
「 … は? 」
思わず声に出してしまう。
… そこかい!
気になるか気にならないかじゃなくて
気になる量の問題かい!
心の中でツッコミを入れる
本当にこの人は何を考えているのかサッパリだ。
『 俺は結構気になるんだけどなー 』
「 …… はい? 」
遙のその言葉に驚き聞き返す。
『 俺は、木下音夢のこと。
結構気になるんだけどなー。』
聞き間違えじゃないことを確信すると同時に
ドキリと私の心臓が跳ね上がる。
それを察知したかのように遙が私の方を見る。
『 … どう思った? 』
私は歩みを止める。それに合わせて遙も歩みを止めた。
遙は意地悪な笑顔をわたしに向けている。
「 どうって … 」
返す言葉が見つからない。
少なくとも私は遙のことは無意識で追っていた。
だから、少し、ではなく、かなり、気になっていた。