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大きな瞳に映るのは
第12章 男と女
進藤は強引に音夢の腕を取り引っ張る様に街中を抜ける。
この先はホテル街だ。
たまに麗と来ることもあったから知っている。
嫌な予感が的中した。
進藤はホテルの前で足を止めた。
明らかに音夢は困っている様子だ。
『 おい進藤、何やってる 』
そう声をかける。
進藤に、新しい女か?と聞くとイエスと返答が来た。
そのやりとりに音夢が苛立ったように声を出した。
本当に笑わせてくれる、お前は男か。
色々と面倒くさくなったので
強引に音夢を引き寄せ胸ぐらを掴んで一言いうと
進藤は舌打ちをして立ち去って行った。
進藤とは一度やりあったことがある。
それ以降少し俺を避けるようになった。
きっと自分が負けたのが嫌だったのだろう。
音夢と並んで歩く。
音夢は怖がっているようには見えなかったが
こういう時なんて声をかけたらいいかわからなくなる。
とりあえず早く家へ帰りたかったので
音夢をのせて自転車を走らせる。
キスしたことを一応ながら謝る。
でも、悪いのは俺だけじゃない、そう言うとまた男みたいな態度になる。
このギャップが悪いんだっつーの。
そんなことを話していると音夢が安心したように笑った。
彼女にいつもの笑顔が戻りほっとした自分がいた。