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大きな瞳に映るのは
第14章 月曜日

― 音夢 side ―
カランカランッ …
奏先輩と雑談を交わしてから喫茶店を出た。
辺りはもう暗くなっている。
『 長く付き合わせてしまってすみません 』
「 気にしないでくださいっ!
先輩とのお喋りは楽しくて好きです。」
へへっ、と笑顔を向ける。
奏は進藤の話をすっかり忘れていたようで
聞いてこなかった。
『 そろそろ体育祭の準備で忙しくなりますね… 』
そんな会話をしながら駅へ向かっていると
同じ制服を着た二人乗りの自転車が私たちを追い越した。
「 あ… 」
思わず声に出してしまった。
遙と麗先輩だ。
『 あー… 遙たちですね、あれほど二人乗りは… 』
隣でぶつぶつと愚痴を漏らしている。
遙たちの姿を目で追う。
すると一瞬だけ遙が後ろを振り返ってこちらを見た。
きっと追い越す時に気が付いたのだろう。
ましてや奏先輩という巨人が私の隣にいるのだから。
胸がチクチクする。
「 はぁ … 」
何で私がこんな想いしなくちゃいけないんだ、とため息を吐く。
と同時にタイミングよく駅に着いた。
ため息に気が付いた奏が顔を覗き込んでくる。
『 どうかしましたか? 』
「 いっ、いや、別にっ 」
へにゃりとした笑顔を先輩に向けると
お疲れ様でした、とぺこりと一礼して、駅の改札をくぐった。

