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手探りな絶望
第7章 献身
食事を終えて
2人で
きれいに片付けして
2人で
ソファに座ると
なんとも
ぎこちない雰囲気が
漂った
聞いた方がいいのかな…
今日は大丈夫?とか。
でもそれって
なんか
気まずい。
その時だった
「あ、あの…」
「ん?何、冬実」
「あのね
もう少ししたら私
周平さんに
あんまり会えなく
なるかもしれない…」
冬実の声は
だんだんと小さくなり
俺のカラダは
自然に冬実に近づいた
「え?会えなく…なる?」
母親の…こと?
「あ、あの…」
「どした?
なんでも言ってよ」
俺は
冬実の手を握った
「あのね
私…仕事しなきゃいけないの」
「?…仕事?」
「う、うん
派遣だけじゃ足りないの
お母さんのこと…とか…」
そう言ったあと
冬実が
ぎゅ〜っと
目を閉じた
「冬実?」
「はい」
「お父さんって…」
「離婚…してるの…」
「兄弟とかは?」
冬実は
黙ったまま
首を横に振った
「そうか…」
余程言いにくかったのか
冬実は
目を閉じたままだった
俺は
冬実を優しく抱きしめ
短い髪の中に
手をうずめた
「えらいな…ひとりで
ごめんな
なんも知らなくて…」