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手探りな絶望
第7章 献身
冬実からの
返事は遅く
何かを迷っているようだった
「冬実?」
「…うん…」
「仕事…どんな仕事?」
「……あの…
それは……
言わなきゃ…だめかな…」
言いたくないような
こと?
じゃあ、俺
そんなの
聞きたくない。
「よしっ!決めたっ」
俺は
冬実と目を合わせて
笑顔をつくった
急に大きな声をだしたから
驚いたのか
冬実は目を大きくさせて
俺を見つめた
「派遣の仕事辞めないで
他にも仕事するんなら
たいして働けないだろ?
俺、冬実に会えなくなるの
やだしさ
俺が冬実を雇う。
週に何度か飯作ってよ
バイト代だすからさ。な?」
「そんな…」
ちょっと
泣きそうな冬実が
かわいそうで
もう
目が潤んでる冬実が
愛しくて
「泣かないで…冬実」
「だって…」
「じゃあ
俺が金貸してやるって
言った方がいい?
冬実が
笑顔になれるなら
俺、貸すよ?
そんなこと
なんてことねぇ」
泣かせたくなかった
冬実の瞳から
涙がこぼれた
「ごめっ…ごめんなさい…
ほんとに
ほんとにごめんなさい…
ほんとに…ほんとに…」