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手探りな絶望
第8章 懇願
珍しいと思った



冬実は
いつも遠慮がちで
言葉の語尾に
「〜してもいいですか?」
と、俺にたずねるようなニュアンスを残す


それなのに
はっきり言ったんだ
「待っててください」
…と。



俺は
頷くしかなく
そして
アパートの中に入って行く
冬実の後ろ姿を見つめた


姿が
見えなくなって
俺はブログを開いた



『俺は…
優しくなんかねーんだ

ただの…臆病者だよ』更新















『優しいかどうかは

あなたが決めるものじゃない



あなたのことを

優しいと思った人がいるのなら

あなたは

その人にとって

優しい人なんです』グラタン














『……そうかな…


じゃあ


あの時も』……





そこまで
文字を打つと

冬実の足音が
耳に入った


携帯をOFFにして
冬実に視線を合わせると

冬実は
穏やかな笑顔を見せた



「…どうぞ…」



「え?」



「よかったら…部屋に…」





「…いいの?

部屋、行っても…?」






「…うん」



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