この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
手探りな絶望
第12章 愛情
「あのね…お母さん」
「何?」
お母さんは
優しく
私の手を握った
「失恋…しちゃったの」
「冬実…」
お母さんは
まるで自分が失恋したような
顔をした
「大好きだったの…
本当にいい人で…とっても
優しい人だったんだけど…
別れちゃったの」
「…そう……
お父さんと、お見舞いに
来てくれた時から
元気なかったけど…」
「…うん
あの時はもう
さよならしてたの…
お母さんには
何でも分かっちゃうんだね」
そう言って
苦笑いをすると
お母さんは
優しく微笑みながら
涙を流した
「お母さん?」
「お母さん、こんな病気になっちゃって
だから
冬実のことも
分からなくなってるのかなって
ずっと思ってたの
冬実が元気なふりしていたの
気付けて
お母さん、ちょっとうれしいな
好きな人がいたから
少しの間
冬実は
ココに来てなかったのね…
お母さん
冬実の好きな人のこと
知りたいな」