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兄の狂気
第4章 交 差
哲平SIDE
「ごめんね哲平くん、
すぐお風呂沸かすから待ってて」
雨に濡れたスニーカーを苦労して脱いでる間、
低めのヒールを脱いだ瞳さんがそう言って、
小走りで家の中に入っていった。
その華奢な後ろ姿を眺めながら俺は
激しく鼓動する胸を服越しにぎゅっと掴んだ。
…ねぇ。
これって…さ。
期待して、いいわけ?
ぽたぽたと身体から流れ、落ちていく雫。
なぜか、寒くはない。
むしろ熱い…主に下半身が。
帰り道、雨に打たれながら…
俺達は3回キスを交わした。
お互い、吸い寄せられるように。
これでさ、もし俺の家に連れ込んでたらさ。
…俺、離せないよ。
離せなかったよ。
多分家入った途端抱き締めて、
身体濡れてるのも気にせず抱き上げて
部屋連れてって…抱いてた。
瞳さんを、めちゃくちゃに。
そんで多分、帰してやらない。
瞳さんを家に送って、送り狼にならずに、
すぐに帰るつもりだった。
だけどさ?
「帰らないで」
なんて言われて抱きつかれたらさ?
…はい無理、帰れるわけないよねー。
家の奥で聞こえる、水が出てる音、瞳さんの足音。
その、若干小走りな足音が近付いてきて
俺の前に姿を現した。