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兄の狂気
第4章 交 差







思わずはい、と言いかけて、
扉を閉めようとした瞳さんの腕を慌てて掴む。


「待っ…、ダメです。
ありがたい、ですけど…先に瞳さん入ってください」


何で、というように首を傾げた瞳さん。


「女の子が身体冷やしちゃダメですよ。
ほら、先どうぞ。…何なら一緒に入ります?」


俺の最後の言葉に顔を赤くした瞳さん。


だから…可愛すぎです。


しばらく譲り合いが続き、ようやく折れてくれた瞳さんが
頬を膨らませて俺を見上げる。


「早めに上がるね」


「ダメです。
俺のことはいいから…ちゃんと温まってきてください」


「…むぅ」


「ちゃんと温まって来ないと、一緒に入って
湯船の中で温まるまで抱き締めますよ?」


からの抱いちゃいますよ?


「…う、」


顔を赤くして固まった瞳さんの頭を撫で、
扉を閉めて壁に寄りかかり、…慌てて身体を離した。


俺ん家じゃねぇんだった…


「…っ、はぁ…」


中にいる瞳さんに気付かれないように息を吐いて、
意味もなく髪をタオルでわしゃわしゃと拭く。


瞳さんまじ…可愛すぎ。


俺の好みドストライク…もうどうしよう。


付き合いたいほんと付き合いたい。


俺だけのものにしたい…


どうしたら俺だけのものになる…?


どうしたら…


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