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第14章 あなたに届け

　俺は玄関を飛び出した。

　白い……白い都市。

　嵐の夜以来だ。

　あのときは、ずぶ濡れになって舞香と二人で家まで駆けこんだ。
　もうずいぶんと遠い昔のようだ。

　ああ……これが「思い出」なのか？
　舞香と二人だけの「思い出」……。

　舞香がどうして泣くのか。
　それは「思い出」のためだったのか。

　俺は理解した。
　そして、舞香が笑うのも「思い出」のためだということも。

「舞香……今、行くからな……」