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夢想姫の逃避録
第3章 大輪の花
チュッ
キスをされた。おでこに。
意外な場所でびっくりしていると、ユウガは声を出して笑っていた。
「今、唇にキスされると思っただろ?ばーか。こういうのはお互いの気持ちが高ぶりに高ぶって、その時が来たらするもんだからな?覚えておけよ?ほら、お腹空いたから朝ご飯さっさと作って食べようぜ♪」
「あ、あ、うん」
平然を装うために、素っ気無い返事しちゃったけど、ユウガはおかまいなしに緋奈の手を引き、キッチンに案内してくれた。
夢だったんだ……ちょっとがっかり。
でも大事にしてくれているんだって思ったら、なんだか凄く嬉しかった。
それにしても、押し倒されたときはびっくりした。
ときめいちゃったもん。
緋奈は、ユウガだったらあのまま食べられちゃっても全然良かったんだけどね?
誰よりも優しいユウガのことが大好きだと思った。
でも恥ずかしくて言えないし、これ以上軽い子だと思われるのも嫌だった。
それでも大好きを伝えたくて、分からない程度に、離れないように、緋奈は繋がれた手をギュッと握り返した。