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夢想姫の逃避録
第5章 艶やかな声
「行かないで…どこにも行かないで……ひとりにしないで…ひとりぼっちはもう嫌だ……寂しいよ…怖いよ…行かないで……お願い……離れちゃやだ…」
隣で眠っているはずだのお姫様がひと粒の涙を零しながら、静かにそう呟いていました。
寝言を言っているようでした。
しかもお姫様は、王子様の手をギュッと握ったまま、肩を震わせて怯えていました。
王子様は怯えているお姫様の弱々しい姿を見て、急に胸が締め付けられる想いになりました。
それと同時に、涙が止まらなくなりました。
王子様は、眠ったまま泣いているお姫様を優しく抱き寄せて、離れないように包み込んであげました。
お姫様がこれ以上悲しい夢を見ることがないよう、大事に、壊れないようにそっとゆっくり髪を撫で、おでこに触れるだけのキスをし、こう囁いたのでした。
「泣かないで……俺はどこにも行かねえよ……ずっと側にいるから…緋奈を置いてどっか行くなんて事ぜってえしないから…もう寂しい想いなんてさせねえよ。緋奈は俺だけのお姫様だから…俺は…緋奈だけの王子様だから……何にも心配しなくていいからな……」
隣で眠っているはずだのお姫様がひと粒の涙を零しながら、静かにそう呟いていました。
寝言を言っているようでした。
しかもお姫様は、王子様の手をギュッと握ったまま、肩を震わせて怯えていました。
王子様は怯えているお姫様の弱々しい姿を見て、急に胸が締め付けられる想いになりました。
それと同時に、涙が止まらなくなりました。
王子様は、眠ったまま泣いているお姫様を優しく抱き寄せて、離れないように包み込んであげました。
お姫様がこれ以上悲しい夢を見ることがないよう、大事に、壊れないようにそっとゆっくり髪を撫で、おでこに触れるだけのキスをし、こう囁いたのでした。
「泣かないで……俺はどこにも行かねえよ……ずっと側にいるから…緋奈を置いてどっか行くなんて事ぜってえしないから…もう寂しい想いなんてさせねえよ。緋奈は俺だけのお姫様だから…俺は…緋奈だけの王子様だから……何にも心配しなくていいからな……」