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eyes to me~ 私を見て
第9章 飼い慣らされる獣
「美名……悪かったな……強引にして」
「……」
「どうしたら、機嫌を直してくれるんだ?」
「……」
「……頼むから、何か言ってくれ……」

 何十秒かの沈黙の後、突然ドアが開けられ、美名が勢い良く抱きついてきた。
 ふたりはバランスを崩し、リビングに倒れ込む。
 綾波は美名に見下ろされる形になった。
 長い栗色の髪が頬を擽る。
 美名は赤い目を潤ませて拗ねた様に言った。

「とにかく、いきなりは止めてください!」
「いきなり……無しか?」
「無しです!今朝みたいにしたら、許さないから!」

 子供みたいに怒る美名はまるで赤い小鬼みたいだ。

「お――怖い怖い……分かったよ……気を付ける」
「その顔は反省してないでしょっ?」

 綾波は、知らない内に口元を緩ませていたらしい。
 怒って、でも恥ずかしそうにしている美名を見ていると、言う事を何でも聞いてやりたくなってしまう。
 美名を思い通りにするつもりが、彼が飼い慣らされているのかも知れなかった。
 彼は美名の髪をそっと掴み、キスしながら聞こえない様に囁いた。




 ――お前は、俺だけの可愛い姫様だ。
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