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eyes to me~ 私を見て
第55章 独りぼっちの歌姫

ソファや、ベッドや、ピアノ……
部屋のいたる所に綾波の薫りと思い出が染み付いている。
思い出と言うには早すぎるのかも知れないが。
12日間、綾波と離れるのは寂しくて長すぎた。
「前は…ひとりが当たり前だったのにね……」
美名は目尻に浮かんだ涙を指で拭った。
真理に、時々“部屋に泊まらないか”と誘われるが、彼の気持ちを知った上でそれに乗るわけにはいかない。
真理の事は大好きだが、もう恋人ではない。
優しさに甘えて部屋に泊まってしまったら、流されて抱かれてしまうかも知れない。
そうなってしまったら、もう自分で自分を許せなくなってしまう。

