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eyes to me~ 私を見て
第57章 さよなら、私の②

美名は泣きながら笑う。
「もちろん覚えてるよ……あの時、凄く楽しかった……しょう君の歌も素敵だったな……」
「美名、諦めるなよ」
翔大は美名の肩に手を置いて真っ直ぐに見る。
「……しょう君」
「俺の知ってる美名は、可愛いだけの女の子じゃない。欲しい物にとことん食らい付くファイターだよ」
「で……も……」
俯きかける美名に、翔大の鋭い檄が飛ぶ。
「――欲しい物には何がなんでも食らい付け!」
美名は息を呑んだ。
翔大は、両手で美名の頬を包み、どこまでも優しく見つめる。
「大丈夫だ……絶対に。頑張れ……」
「しょう君っ……」
「――おい、翔大、そろそろ行くぞ」
遠くから庄森が声を掛けてきた。聖恵は美名をチラリと見てから、庄森の手を握り締めて甘える様に身体をもたせかけた。
久し振りに見る聖恵は、まるで美名の事を忘れてしまったかの様に見えた。

