この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
eyes to me~ 私を見て
第59章 夢うつつのキス

力を緩めたら何処かに浚われてしまいそうな気がした。強く強く抱き締めると、美名の身体がピクリと動く。
「んん……つ……よし……さん……」
目を半開きし、綾波の姿を認めると、ニッコリと笑い、またカクンと眠りに堕ちた。
大事な宝物を扱うように、その髪を指で撫でてキスをすると、自分の中で歯止めが利かなくなって行く。
美名の気持ちがちゃんと固まるまで、触れてはならないーーという決心がもう崩れそうだ。
二週間、側で見守った。美名が寂しがっているのを目にする度、着ぐるみを脱ぎ捨てて抱き締めたくなった。
目の前で綾波を恋しがる姿を見ていても、それでも不安に思う自分が居た。
今まで散々強引にしていたのに、一度距離を置いた途端に怖くなった。
――俺の様な人間が、思いのままに愛して良いのだろうか。
と。

