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eyes to me~ 私を見て
第59章 夢うつつのキス

「俺もだ……俺は……っ」
その白い両手を握り締めて頬に寄せる。
美名はいつの間にか眠りに落ちていた。
喉まで出掛かった言葉を呑み込み、溜め息を吐く。
腕の中で甘く淫らに乱れた恋人は、小さな少女の様に眠りこけている。
身体に毛布をかけてやり、頬に貼り付いた髪をそっと退けると柔らかく口付けを落とした。
ベッドから降りて、散らばった服を集め一枚ずつ身に付けて行く。
スヤスヤと息を立てる美名の口許が笑っている。
綾波は顔を綻ばせた。
ブラインドに指を挟み外を見ると、空が白み始めている。
アラームをセットした時計を枕元に置き、身を屈めてもう一度頬にキスした。
「すまん……もう少し……もう少しだけ待ってくれ……必ず……お前を……」
綾波は静かに部屋を出ていった。

