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eyes to me~ 私を見て
第66章 eyes to me~私を見て
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「見えた!日比谷野音!」
目の前の信号を渡れば会場なのだが、なかなか青に変わらない。
綾波は後部席を開け、降りてしまった。
「走った方が早い……!先に行く」
綾波は、中央分離帯の植え込みをヒラリと飛び越え、車を鮮やかにかわして走って行く。
「綾波――!頼んだぞ」
「気を付けて!」
「綾波くん――っ」
智也達の声を背中で聞きながら疾走する。
会場に近付くにつれ、胸の中が騒がしく鳴り始めた。
付近に歩いて居る人々の姿がない。という事は、ライヴはまだ終わってないのかも知れない。
ゲートが見えた。
人々が拍手をして、歓声をあげている。
ステージに大勢の人間が上がっているが、美名は居るのだろうか?
速度を緩める事なく走り、会場のゲートをくぐった。