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第5章 溺れる歌姫

｢阿呆｣

　綾波に、直ぐ様唇を奪われる。
　言葉で素直になれないかわりのように、美名は腕を背中に絡み付けて甘えた。
　しなやかで強い腕が抱き締め返して来て、優しく頬にもキスされる。

｢何度抱けばわかる？お前は俺の……｣

　言い掛けた唇を美名の方から塞ぐと、綾波の身体がビクリと動いた。
　美名の口付けに身を任せていた綾波は、切なく溜め息を吐き、そのまま獣を一気に突き刺してきた。

｢んっ……！｣

　堰を切ったかの様に活発に動く綾波に狂わされる。

｢美名……っ｣
｢ああっ｣

　名前を呼ばれると、胸が鳴るのと同時に蕾がキュンと締まる。
　綾波はイキそうになるのを堪えて苦悶しながら、荒く呼吸を乱し、彼女を突き上げ囁いた。

｢俺に抱かれるのが、好きか……答えろ｣
｢そ、んな……意地悪っ｣