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eyes to me~ 私を見て
第32章 新しい恋と、忘れられない恋と
一同が東京へ到着したのは夕方だった。
志村は仕事へ、由清はホストクラブへ最後の出勤をしに、桃子は三広のマンションに泊まると言って行ってしまった。
そして今、美名のアパートで、真理は所在なげに大きな身体でちんまり正座している。 美名がシャワーを浴びる音を聞きながらテレビを見ていたが、勿論内容などさっばり頭に入ってこない。
真理はバスの中での出来事を思い出していた。
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桃子が真理にメールを打ってきた。
『お姉ちゃんが寂しがるだろうから今夜は一緒にいてあげてよね!頼むわよ?』
『頼む、て言われても……美名が何て言うか(;´д`)』
『何よその弱気な顔文字は!
ゴツい癖に似合わないっつーの!
あんたお姉ちゃんの彼氏になったんでしょ?
グイグイ行きなさいよ!
ボヤボヤしてたら翔大さんに取られるからね!』
「う……」
真理は思わず呻く。
「どうしたの?」
美名が鈴を転がす様な声で聞いてくる。
真理はその長い髪を弄びながら、美名にどうやって切り出そうか頭をフル回転させる。