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eyes to me~ 私を見て
第36章 silent wolfが牙を剥く

何が起こっているのか理解できない美名は、スマホを穴が開く位凝視するうちに、唇が震えて、息が苦しくなってきた。
「ハアッ……ハアッ……」
「美名……!」
肩で息をする美名を綾波が抱き締める。
志村は、いつの間にか電話を何処かに掛けていた。
「もしもし……志村よ。大室を出して……
志村賢一って言えば分かるわよ!」
志村が声に苛立ちを滲ませている。
「……大室?
久し振りねえ……もうお怪我はいいのかしら?……それはそうと……何故私が電話をしてきたのか、分かるわよね?分からないとは言わせないわよ!」
電話の向こうの大室は至って落ち着いた声だった。
『なんだいやぶからぼうに?
……それが人様に物を聞く態度なのかい?
お前は昔から気にくわない奴だったが……
最低限の礼儀さえ欠いてしまうのは、人としてどうなのかなあ?……賢一?」

