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第41章 歌姫、舞踏会で歌う

　エレベーターが下に到着すると、素早い足取りで玄関から出てホテルの前に付けられたタクシーに乗り込んだ。

｢どちらまで？｣

　翔大は迷わず自分のマンションの住所を告げた。

｢……つ……よしさん……｣
　
　小さな寝言が美名の唇から漏れたが、また翔大に無防備に寄りかかって寝息を立て始めた。
　その細い手を握り締めて翔大は低く呟いた。




｢帰さない……もう……奴の処には……｣