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eyes to me~ 私を見て
第44章 デビュー前夜
真理は、美名に向き直り、肩にそっと手を置いて真っ直ぐに見つめた。
「歌手ってのは……音楽家ってのは、音楽だけを届けてるんじゃないんだよ。
自分の知らない処で、誰かが夢や勇気を受け取ってるんだ。
……美名も、もうそういう力を持っているんだ……さっきの子供達の顔……見ただろう?
美名の歌は、特別なんだよ……」
「真理く……」
「綾波の事で……何があっても……
頼むから……バカな事だけはしないでくれよ!」
真理は、振り絞る様に言うと、美名をきつく抱きしめた。
「真理君……っ……私」
美名の目から涙が溢れる。
「大丈夫……大丈夫だ!何があっても……
もし……何かあったとしても……皆が……俺が……居る……」
「ま……ことく」
真理の力強い腕に抱きしめられながら、美名はいつしか腕を背中に回していた。