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二人の距離は350m
第5章 関係
耳に馴染んだ声に振り向くと、気の抜けた笑顔の伊丹がいる。
ムキになって伊丹とは正反対の理想のタイプを頭に描くうちに追い抜いていたらしい。
「おはようございます」
動揺を隠そうとするあまり、つい素っ気ない挨拶になる。
「学校でもメガネをかけるの止めるんですか?」
「え?あ!」
紅葉から逃げるように家を出たため置いてきてしまったようだ。
指摘されるまで気づかなかったのは、もともと度の入っていない伊達メガネだからだ。
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