この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
タンバリンでできたオーロラ
第9章 魔砲兵姫ニミット
その長い睫毛を伏せるとニミットは呟いた。
「……姫にして姫に非ず。兵器にして兵器に非ず。魔の力を以て魔を葬らん」
「お、おお……」
その鈴の音のように清らかさながらも凛とした声は、百戦錬磨の兵士長ロナウドをして気圧されるほどの強い意志を感じさせた。
「我がランスラント公国に仇なす悪魔、ザナルよ! お前を討つ! 我が名は魔砲兵姫ニミット・エルフィーン!」
凄烈なる大音声が眼前の魔物の軍勢をたじろがせる。
「砲具召喚!」
ニミットに応じて腕の周りに巨大に口径の砲身が出現する。胎内の精霊の力を借りて何もない空間に成形されたそれは、まさしく魔砲だった。