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タンバリンでできたオーロラ
第37章 英雄 ~あるいはコロンブスと卵の話~
ワイバーンが高い声で鳴き、目的地に近づいたことを知らせる。僕はその背の上で身体を起こして前方を見晴るかした。
水平線の彼方に黒い陸の影。
それはグングン近づき、あっという間に眼下いっぱいの大地となる。小さな漁村の上空を滑るように通り過ぎ、丘を越え、田園地帯をひとっ飛びにする。道行く馬車を見降して。
遥か地上では豆粒のように小さく見える住民たちが、顔を上げて僕らを指さしている。空を埋め尽くすこの飛竜の大群の襲来を。慌てて駆け出す者、その場にへたり込む者、恐慌する地上を意に介さずに、雲をなぎ、風邪を切り裂いて僕らは突き進む。
そして、堅牢な守りを誇る首都が姿を現した。
そびえ立つ城壁はしかし、僕らを阻むには低すぎ、やすやすと侵入を許す。
手綱を引くと、グンッという急降下の浮遊感。一瞬、鞍と尻との間に隙間ができる。僕は力いっぱいに身を伏せて、飛竜のたてがみに顔を埋めた。後続する部隊の飛竜が口々に恐るべき咆哮を上げ、周囲はたちまち熱焔を吐く予兆の、空気が焦げる匂いが立ち込める。
ああ、この物語はどのように終わるのだろう?
水平線の彼方に黒い陸の影。
それはグングン近づき、あっという間に眼下いっぱいの大地となる。小さな漁村の上空を滑るように通り過ぎ、丘を越え、田園地帯をひとっ飛びにする。道行く馬車を見降して。
遥か地上では豆粒のように小さく見える住民たちが、顔を上げて僕らを指さしている。空を埋め尽くすこの飛竜の大群の襲来を。慌てて駆け出す者、その場にへたり込む者、恐慌する地上を意に介さずに、雲をなぎ、風邪を切り裂いて僕らは突き進む。
そして、堅牢な守りを誇る首都が姿を現した。
そびえ立つ城壁はしかし、僕らを阻むには低すぎ、やすやすと侵入を許す。
手綱を引くと、グンッという急降下の浮遊感。一瞬、鞍と尻との間に隙間ができる。僕は力いっぱいに身を伏せて、飛竜のたてがみに顔を埋めた。後続する部隊の飛竜が口々に恐るべき咆哮を上げ、周囲はたちまち熱焔を吐く予兆の、空気が焦げる匂いが立ち込める。
ああ、この物語はどのように終わるのだろう?