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君はカノジョ
第6章 友情なんかじゃないやいや
雨の音を聞きながらしばらく立ち読みして、飲み物を買ってオフィスに戻る。
ものの見事に上の階は誰もいなくなっていて、企画部にも桃子さんしかいない。
隣が少し気になったけど見ないようにする。

そーっと席に戻る。桃子さんはまだPCとにらめっこしている。
ゆってこの人も割と貧乏くじひくタイプだよなぁなんて背中を見つめて思う。
いい人いないのかな。小柄で可愛いのに。よく気が付くし口の悪いとこもあるけどそれも愛嬌と言うか、キャラ勝ちだよな。
そう言えばだいぶ前に片思いしてる人がいるとか言ってなかったっけ。
などと机に頬杖をついて考えているうちに寝てしまっていた。

軽く体を揺さぶられて目を覚ます。
「半田ぁ、なんで帰んないでこんなとこで寝てんのよ」
「あ、いや、桃子さんに飲みもの買ってきたんだけどなんか寝ちゃって…」
「えぇ?なんかごめん…。さらにごめんなんだけどもうバスないよ?」
「えっ今何時」
10時半過ぎたってこと?と時計を見るがまだ8時を回ったところだった。
「なんか雨全然やまないし激しくなってるしで止まったらしいよ」
スマホの画面を見せながらいう。確かにバスの時刻表に運休、と赤字で出ている。
あー。
「あのさ、タクシー並ぶとこになんか張り紙出てるのね、見てくるから待ってて」
「えーいいよ俺行くよ」
「いやーだって」
「いいから、桃子さんはここいて」
「うん…ありがと」
しょぼんとしてしまった桃子さんに気にしないで、と言い置いて外に出る。風と雨は激しいままで俺はよろよろしながら微妙に離れたタクシー乗り場に向かった。
その移動だけでひざ下位までびしょびしょになる。なんじゃこりゃあ。
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