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ネムリヒメ.
第2章 目覚め.
「呼んだ?」
「…っ‼」
その声に慌てて顔をあげると、目の前に彼がティーカップを持って立っていた
「平気か?」
そう言って片方のカップを口に運ぶと もうひとつをアタシに差し出す
「あ…りがとう」
カップを受け取って中をのぞくとホットミルクだった
口をつけると温かくて ミルクの優しい味が口いっぱいに広がっていく
おいしい…
ゴクリと飲み込んで大きく息を吐くと 肩からスッと力が抜けた
「…で、思い出した?」
「ぇっ…」
コトン…と静かな部屋にカップを置いた音が響く
彼はアタシの手からカップを取り上げると、顔を覗きこんだ
「さっき、オレの名前…呼んでたみたいだけど」
「…へっ!?」
それって……
彼の切れ長の目に至近距離で見つめられて、何も言えなくなってしまった
「なぁ…」
彼がクスリと喉を鳴らす
「もしかして…覚えてないの?」
心臓がドクドクとうるさいほど騒ぎだす
彼の漆黒の瞳が妖しく揺れる
っ…
「忘れちゃった!? …オレのコトも」
オレのコトって…
アタシは必死に思い出そうとした
しかし妖美に微笑む彼に頬を撫でられ、頭の中が真っ白になってしまう
「……っ」