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ネムリヒメ.
第8章 雨.
渚くんはアタシの髪をかき分けると、耳元にチュッと音をたててキスを落とした
「っぁ…」
アタシはビクリとカラダを震わせ、彼のカラダを押し返そうとする
しかし、力の入らないアタシの腕では押し返せるのもほんの数ミリ程度で、彼にそのまま手を捕まれ、耳たぶを甘く噛まれると甘い疼きとともに一気に体温が上がった
「ひゃっ…んぁ…ぁっ」
「その顔…そそる…」
彼自信によってつけられた紅い噛み跡にねっとりと舌を這わされ、雨音が響く車内で熱い吐息を溢しながら身悶えるアタシを渚くんは楽しむように弄ぶ
彼と唇を重ねるたび…
彼と肌を重ねるたび…
快楽という甘い毒に侵され囚われる
時折見え隠れする欲に溺れる知らない自分が、アタシをどんどん蝕んでいって、どれが本当の自分なのかわからなくなっていく
余裕の笑みを浮かべる彼と
余裕なんてとっくにないアタシ…
「渚く…」
アタシは、か細い声で彼の名前を呼び操られるように彼の髪に手を伸ばした